信州の旅
(2016/8/25~27撮影)
毎年夏には旅行に出かける。もう40年近くになるであろうか。今年はいろいろと忙しく、なかなか出かけることができなかった。せめて日帰りで信州にでもと思い昔買った案内本を見ていたら、興味深い神社仏閣が多数出てきた。そこで急遽泊まりで行くことにした。しかしこういうときに限っていろいろ出てくるものである。予約した旅館が休業日という考えられないことが起こった。前日に旅館を変更、また、天気予報ではこの3日間は雨が降らないはずであったが、2日目の夕方から降り出し、3日目は一日雨であった。でもまあ雨も良いではないか。歩くには不便だが、しっとりと落ち着いた写真が撮れた。それでは信州のお城や神社仏閣をご覧下さい。
Ⅰ.小諸城址懐古園
懐古園の入口三の門。
この額は徳川家達の筆だそうだ。
400年前の石垣は今も健在。
第二次上田合戦で徳川秀忠が陣を張った。
真田人気のためか県外の客は少ないように感じる。
石垣の上は遊歩道になっており、観光客が散策する。
天守台跡。高くそびえる石垣は歴史を物語る。
下は堀跡であろう。自然の地形をうまく利用している。
園の奥に不明(あかず)の門跡があり、その先に水の手展望台がある。
ここから見える千曲川の景色は最高だ。
園内では多くの中学生が写生をしていた。
有名な木なのであろうか?
はるか昔を思い出す。
園内にある懐古神社。
合格祈願の絵馬は、いつでもどこでも変わりない。
何か気が休まる。
園内に動物園もある。
何か懐かしい匂いがする。
地元市民の憩いの場、昭和に戻ったような気がする。
懐古園から少し離れたところにある大手門。
小諸城の正門だ。
しっかりした造りが歴史を感じさせる。
Ⅱ.上田城跡公園
上田城跡公園は至るところに赤い幟が立つ。
園内はお金をかけ、きれいに整備されている。
上田城本丸東虎口の櫓門ではくノ一がお出迎え。
櫓の2階は博物館になっている。
六文銭があちこちに並ぶ。
櫓2階から外を見下ろす。
窓には六文銭が。
真田神社の脇にある真田井戸。
太郎山麓の砦に通じる抜け穴があったそうだ。
西櫓付近から見下ろす。
この城の高さを実感する。
本丸跡のお堀。今も水が蓄えられているところがある。
西櫓を下から見上げる。
自然の地形と石垣をうまく利用している。
尼が淵から南櫓を見上げる。
断崖に石垣を組み合わせ、見事に作り上げている。
二の丸の堀は欅並木の遊歩道になっている。
欅と赤い幟が調和し気持ちが良い。
このアーチは二の丸橋。
欅並木から平和の鐘を見上げる。
戦時中に軍に徴発された時の鐘が、昭和47年に復元された。
堀の一部は現在陸上競技場になっている。
その入口に百間堀の樋がある。
二の丸北虎口の土橋に東から西へ水を通すための樋であった。
Ⅲ.塩田平の古刹
信州塩田平は、鎌倉時代に北条氏が治めた地である。
ひっそりとした山里にかつて政治文化の中心地として栄えた痕跡を伺う。
前山寺(ぜんさんじ)。茅葺き屋根の門が迎える。
塩田城の鬼門に位置し、その祈祷寺として武将の信仰も厚かった。
山里の小さなお寺だが、実に良く整備されている。
奥の高台に三重塔が見えてきた。
国の重要文化財[三重塔]。
未完成の完成塔と言われる。
この形は実に美しい。
室町時代に建立されたと推定されるこの塔は、二層三層に扉も窓もなく、
各柱の上部壁際に切り込みがあることから、未完成と考えられている。
それにもかかわらず安定と調和を保つ完成された美しさがある。
小さな庭にちょこっと立っている、そんな感じが心を揺さぶる。
下から見上げる。何ともいえない美しさがある。
お寺の本堂は茅葺き屋根だ。
「本」の字は何を意味するのか?
塩田北条氏の菩提寺[龍光院]。
門の右側が羅漢堂。
左奥が観世音堂。
五百羅漢を祀っているのであろうか?
ついこんなものに目が行ってしまう。
中部日本最古の古刹、中禅寺。
奥に薬師堂が見えてきた。
平安時代末に作られた金剛力士像
何とも迫力がある。
国指定重要文化財、薬師堂。
鎌倉時代初期に建てられたそうだ。
茅葺き屋根が何ともかわいい。
中尊寺金色堂と同じ方三間宝形造りだそうだ。
こんな所に目が行く。
真横から見てみる。
何と品の良いことか。
多くの木々に囲まれて、ちょっと品良く座っている。
この美しさ、奥ゆかしさに感激した。
お堂の脇に古いお墓が並んでいた。
鎌倉時代のものであろうか?
思わず手を合わせたくなる。
Ⅳ.別所温泉の古刹
湯かけ地蔵、温泉らしい風景だ。近くには足湯もあった。
そのお地蔵の近くに北向観音堂がある。
善光寺と御利益一体の厄除け観音だそうだ。
例によってお札がたくさん貼られている。
お堂の中のこんな風景が心地良い。
中の柱までびっしりお札が貼られている。
この乱雑さが実に良い。
観音堂の右手奥にこんな建物があった。
どうやってお詣りするのだろうと思ってしまう。
こちらは常楽寺。この茅葺き屋根はすばらしい。
百日紅が咲いていた。
本堂の茅葺き屋根と実によく似合う。
本堂脇の納経所。和風の佇まいが実に良い。
本堂の左側から少し山の中に入ると、
国の重要文化財石造多宝塔がある。
山の斜面にある塔は、厳重に鉄格子で囲まれていた。
石造多宝塔で重要文化財に指定されているのは全国で2基のみ。
鎌倉時代の作、極めて貴重だ。
中央が石造多宝塔、その左右は石造多層塔。
こちらは安楽寺。ここにも百日紅が見事に咲き誇っていた。
比較的新しいと思われる山門にも多数のお札が貼られている。
鎌倉時代、北条氏により禅寺として栄えた安楽寺。
十六羅漢尊者が安置されている。
鐘楼である。随分立派なものだ。
本堂の屋根は、茅葺きであったものを金属で覆っていると思われる。
北条氏滅亡後一時廃れたようだが、ようやく復権したようだ。
お寺の裏手、山の中に見えてきた。
国宝八角三重塔である。
それは森の中でまさに光り輝いていた。
塔の裏手に階段があり、少し登れたのでそこから撮影。
その美しさに心奪われる。
森の中、お墓に囲まれて立っていた。
今回は良いものとたくさん出会えたが、中でもこの三重塔は最高であった。
1290年代に建立されたという。
700年以上の時が過ぎているのが信じられない。
正面から写した写真もあるのだが、あえて載せなかった。
下から見上げるこの迫力がたまらない。
Ⅴ.千曲市の表情
千曲市の高台にある城山史跡公園荒砥城。
戦国時代の山城を再現したものだが、実に良くできている。
左下が兵舎、その奥が敵を見張る櫓。
ここからは千曲市が一望できる。
戦国時代とは言え、良くこんな所に作ったものである。
姨捨伝説の地、姨捨地区にある長楽寺。
茅葺き屋根の小さなお寺だ。
多くの文化人が訪れたというお寺、庶民の願いは何処も同じだ。
棚田百選に認定された姨捨の棚田。
ここもその一つであろうか?
まさに猫の額ほどの狭い田んぼが連なる。
学生の時、電車の車窓から見た信州の風景に驚いた。
こんな狭いところに良く田んぼを作っているなと。
今回は目の前で見て改めて感心する。
だが耕作放棄地も多数見受けられる。
繁栄と衰退、また復活することがあるのだろうか。
月見畑という公園があった。
急な斜面に遊具が置いてあるが、すでに使えないものも。
これを使って遊ぶ子供もこの辺にはいないのであろうか。
Ⅵ.戸隠神社
最終日は雨の一日であった。
歩くのにはちょっと大変だが、この神社には雨が似合う。
火之御子社。山奥のほんとに小さなお社に参拝者が絶えない。
山の中に一つだけ建っている古いお社。
物陰から忍者でも出てきそうだ。
お社の裏手山の中に小さな祠が
神木を祀っているのか。
戸隠神社で最も大きく賑やかな中社。
ツアー客と思われる人も多数いる。
鳥居脇の古い建物の軒先では多くの人が雨宿りをしている。
何を待っているのであろうか。
鳥居から神社まで真っ直ぐ階段が延びる。
この風景いいではないか。
中社本殿。いかにも神社らしい大きな立派な建物だ。
拝殿は階段を上がった高いところにある。
内部は撮影禁止であったが、結婚式の記念撮影をしていた。
いよいよ奥社である。
駐車場に車を置き少し歩くと鳥居が見えてきた。
狛犬がいた。
凜々しい顔立ちでなかなか立派である。
随神門が見えてきた。
やっと中程である。
入口から奥社までは40分はかかる。
ここから奥は杉並木が続く。
何と大きな門であろうか。
神秘的な世界に入っていく。
随神門には以前は仁王像が鎮座されていたようです。
明治政府の神仏分離令により、左大臣右大臣に置き換えられたようです。
こちらはどうも左大臣らしい。
こちらは右大臣か?
いずれにしても神様をお守りしているようです。
随神門の先は樹齢400年の杉並木が永遠と続く。
わずかであるが緩い上り坂だ。
途中から階段状の上り坂になる。
足下は滑りやすく気を遣う。
ちょっとした山登りだ。
やっと見えてきた。九頭龍社である。
山上の質素な神社である。
こちらが奥社だ。
山の中にもかかわらず、鉄筋コンクリート造りだ。
屋根の奥は山肌に食い込んでいる。
ここまで来るのにはそれなりに体力もいるが、参拝者が絶えない。
奥社の脇に古い建物があった。
こちらにも神様がおられるのであろう。
社務所付近から奥社を眺める。
雨のおかげで余計神秘的に感じる。
奥社から戻り鳥居を出たところに蕎麦屋があった。
疲れていたのでとりあえず入ってみる。
これが大正解。
ここの蕎麦は美味かった。
Ⅶ.小布施
旅の最後に小布施に寄ってみた。
小さな町だがとても雰囲気が良い。
傘立と鉢植えが客を迎える。
和紙の中條。
Japanese paper.
そして傘立て。
この配置が気に入った。
造り酒屋である。いいではないか。
酒屋の隣は小布施堂正門。
古い門だがおしゃれだ。
その隣が小布施堂本店。
昔の建物をおしゃれに見せている。
狭い店に観光客があふれる。
正門から奥に道が連なる。
大八車だ。
8人分の仕事の代わりをする車。
薪が並べてあった。
雨がいい具合に雰囲気を作る。
今回の信州の旅、未知との出会いに感動した。
小布施は時間がなくゆっくり見ることができなかった。
また行ってみたい。お寺もゆっくり歩いて廻ってみたい。
まだまだ知らないところがたくさんあるのだ。